広寿苑は、大阪市東成区の町なかで長く親しまれてきた和菓子屋です。創業は1961年で、昭和のころから家業として営まれ、店のありようを大きく変えることなく菓子づくりを重ねてきました。目立つ看板や派手な宣伝に頼らず、代々つないできた手仕事を店主が受け継ぎ、町の中の小さな和菓子店として営みを続けています。大阪市の和菓子屋を探している方にとっては、特別な用事がなくてもふらりと立ち寄れる、日常の通り道のような一軒です。近所の方が暮らしの延長で立ち寄り、子どもから年配の方まで幅広い世代が足を運ぶ、町の日常になじんだ場所になっています。
店を代表する品として知られているのが、ごろごろ苺大福です。やわらかな求肥の中に白あんと小粒の苺をいくつも包み込んだいちご大福で、噛むたびに果汁がにじみ、白あんのやさしい甘さのあとに苺の酸味が静かに残ります。冷たいままなら食感が軽やかで、少し置けば苺とあんがなじむため、食べる時間によって表情が変わるところも魅力です。もうひとつのじまんの品であるまるまるスイートポテトは、ほくほくとした感触としっとりした口あたりが重なり、あとから焼き芋の香りが立ちのぼります。このほかにも、わらび餅や抹茶わらび餅、武家もなか、栗一番や栗まんじゅう、千代重、ブッセ、芋餡クリームどら焼きなど、日々のおやつにも贈りものにも選びやすい品がそろっています。
店頭まで足を運ぶのが難しい方に向けて、広寿苑はオンラインショップも設けています。ごろごろ苺大福は中サイズと特大サイズの箱入りで取り扱われており、通販からも注文できます。菓子づくりにあたっては、素材の味が生きるように、添加物をできるだけ使わない作り方が守られています。また、長く受け継いできた和菓子屋の仕事を軸に据えながら、企業や店舗に向けたお菓子づくりの相談にも応じています。大量生産を前提とする工場のような作り方ではなく、手仕事の届く範囲で、ひとつの企画として形になる規模でつくる進め方です。これまでもチーズケーキやお芋を使ったお菓子といった、いまの技術を生かせる内容を中心に依頼を受けてきました。
広寿苑に伝わってきたものは、レシピにとどまりません。火の入れ方や混ぜ方のわずかな違いといった、言葉では説明しきれない感覚が、世代をまたいで手渡されてきました。店主の祖母にあたる80代の作り手も今なお店に立っており、その手には長い時間をかけて積み重ねられた記憶が残っています。店内は広くありませんが、冷やしあめを片手にお菓子ができあがるのを待ちながら、店主と言葉を交わしたり静かに過ごしたりする方もいて、ひと息つける場面が日常の一部になっています。
同店は、受け継いできた味を大きく変えるのではなく、素材の選び方や組み合わせを見直し、現在の暮らしに合うかたちを探り続けています。少しずつ無理のない変化を加えることも店を長く続けるための形のひとつだという考え方が、昔ながらの和菓子と新しい感覚のお菓子が並ぶ日々の菓子づくりに表れています。
お菓子の内容や店の取り組みについては、公式サイトで詳しく確認できます。
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